RESEARCH
2010年頃から小津安二郎を中心に映画研究を開始。映像制作の経験から今まで見落とされてきた新事実を多数発見。主な著作に『小津安二郎 大全』(共編著:宮本明子、朝日新聞出版)『新装版 小津安二郎・人と仕事』など。2023年にはLAのアカデミー映画博物館より招待を受け映画解説をするなど世界的にも高い評価を得ている。
小津に関する主な書籍や論文(各書籍の詳細はこちら→)
・「小津安二郎 大全」
映画監督:小津安二郎の決定版書籍。企画から取材、寄稿者選定、調査、執筆まで全行程を手がけた(共著者:宮本明子、刊行:朝日新聞出版)。映画化されなかった脚本を含む全60作品の小事典ほか、香川京子/司葉子/岩下志麻/坂本龍一などへの取材、加瀬亮/保坂和志/北村薫/ペドロ・コスタ/ミカ・カウリスマキなどからの寄稿も収録した。
・「新装版 小津安二郎・人と仕事」
小津を知る上で欠かせない一冊とされながら長年絶版となっていた書籍を復刻した。池部良、杉村春子、高峰秀子、田中絹代、司葉子、中村鴈治郎、森繁久彌、笠智衆、若尾文子、今村昌平、篠田正浩、木下惠介など小津を直接知る俳優やスタッフの生々しい証言が収録されている。
・「小津安二郎 入門の入門」
小津の評価の理由、作品の特徴やその人生などを入門書としてわかりやすく解説した。日本語英語版が同時刊行され、米アカデミー協会図書館にも収蔵された。
・「助監督使用台本による小津安二郎監督作品生成過程の分析」
定説に反し小津が台本の完成後、撮影時や編集時においても台詞などの推敲をおこなっていたことを明らかにした論文(宮本明子との共著)。査読者から「疑いなく、これまで多くの研究がなされてきた小津作品に新しい光をあてた重要論文」、「小津は脚本を変更しないという通説を覆す発見」、「この論文が新しい小津研究の端緒になる」など高い評価を得た。
主な研究実績(『小津安二郎 大全』に収録されたもの)
・「伝記 小津安二郎」執筆。小津両親の離婚経験や、宝塚歌劇の演出の構想、最晩年の女性二人を主人公にした新作構想など、多数の新発見と共にまとめた。最も完成度の高い評伝の一つ。
・「小津安二郎 全作品ディテール小事典」執筆。脚本や未完成作品も含む全60作品の精密調査を行なった。『浮草物語』の主題歌発掘や、『晩春』のサイクリングロード特定、黒澤明『野良犬』からの音楽的影響など、多数の新発見と共にまとめた。また新しい論点として、第一作でのジョン・フォードからの影響、『女房紛失』に登場するルパンやホームズ、『長屋紳士録』の特異な舞台設定、『一人息子』で流された発売禁止歌、『お早よう』の主題曲の分析も取り上げた。これらも本格調査がなされたのは初めてのことと言えるだろう。
・小津組への取材:川又昻、篠田正浩、末松光次郎、田中康義、田邉皓一、山内静夫ほか。
・出演者への取材:岩下志麻、香川京子、司葉子ほか。
・小津関連取材:坂本龍一、ミシェル・シオンほか。
・小津が定説に反して40mmレンズも使用していたことの発見と分析。
・小津少年期の絵画、中国出征時に撮影した写真のデジタル修復。
その他活動
・浦沢直樹、惣領冬実、長谷部朋香・千村洋子、山本富士子らへの取材
・「映画音響批評 小津安二郎の音を語る」(映画研究者:長門洋平との対談)
・「小津安二郎生誕115年・小津安二郎青春記念館開館15周年記念展」(映画監督:田中康義らとの鼎談)
・シンポジウム「OZU2020」(企画、映画監督:周防正行らとの鼎談)
・「対談・『小津安二郎 大全』の見どころ、読みどころ!」(直木賞作家:北村薫との対談)
・「保坂和志 × 松浦莞二 × 宮本明子」(芥川賞作家:保坂和志らとの鼎談)
・International Conference on Social Science and Business(米国で開催された国際学会。J・フォードの小津への影響について発表)
・International Symposium on Business and Social Sciences(シンガポールで開催された国際学会。シンガポールでの小津について発表)
・Society For Cinema and Media Studies(カナダで開催された世界最大規模の映画学会。日本映画、特にアニメーションについて発表)
・都留文科大学比較文化学科での特別授業(2017年1月)
・早稲田大学文化構想学部 現代人間論系演習での特別授業(2016年7月)
・関西大学での特別講義
・LAアカデミー映画博物館での作品解説(2023年9月。詳細はこちら→)
・シネ・ヌーヴォでの作品解説(2024年3月)
・「週刊文春CINEMA」 2023秋号の小津ワールド読解講座の監修